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島田荘司著「写楽 閉じた国の幻(上)(下)」 

2014-09-18

島田荘司著「写楽 閉じた国の幻(上)(下)」を読みました。

謎の浮世絵師・写楽。寛政6年から7年にかけての十か月間に140枚余りの強烈な大首絵を当時一番の版元・蔦屋重三郎から発表して、跡形もなく消え去った絵師・写楽が誰なのかということは、言わば浮世絵界のミステリーになっています。

著者の島田さんは、鎖国という時代背景を加味し、同じ時代を生き写楽と顔を合わせたであろう蔦屋重三郎を始め、同じ耕書堂から出版している歌麿や北斎などの絵師や、山東京伝や十返舎一九などの売れっ子の戯作者たちが写楽について口をつぐんでいるのはなぜなのか。そこから島田さんは写楽が誰なのかを紐解いていきます。

諸説ある写楽説の中で定説となりつつあるものもありますが、多分これからも写楽は誰なのかという謎は残っていくでしょう。十分に余韻を残し、楽しく読み終えました。(N)

 

CIMG5342島田荘司著「写楽 閉じた国の幻(上)(下)」(新潮社)