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菅原文太さん逝く

2014-12-03

先日の高倉健さんの逝去に続いて、またも東映の看板スターだった菅原文太さんが亡くなった。

私が初めて映画俳優・菅原文太を意識したのは、青春時代の真っ只中に観た若山富三郎主演映画「極悪坊主」の中で、主人公のライバルとして盲目の武術家「観音寺の了達」を観てからでした。めくらでありながら少林寺拳法の達人で、鞭を使い、主人公と対決する姿や雰囲気にすっかり魅了されました。

それから、たくさんの任侠やくざ映画の中で“菅原文太”を意識するようになり、中でも「現代やくざ」シリーズの「現代やくざ・人斬り与太」で、映画の中で一番悪い野郎の主人公を演じた文太さんの大ファンになりました。

その後、「木枯し紋次郎」シリーズ、「関東テキヤ一家」シリーズや「まむしの兄弟」シリーズ、そして東映実録路線の最高傑作「仁義なき戦い」シリーズなど、文太さん主演の映画はほとんど観ています。

そして、通称“一番星”の星桃次郎が登場するトラック・ロードコメディ映画「トラック野郎 御意見無用」。最終作「故郷特急便」までのシリーズ全10作を、封切りの度に、今度はどんなマドンナとデコレーション・トラック(デコトラ)が登場するか毎回楽しみにしていました。文太さんは、どんな映画の中でもいつも生々しくギラギラと輝いていて、私はこのトラック野郎の桃次郎役が一番好きでした。

文太さんの訃報に接し、20年近く前に諫早のマンションに住んでいた頃のある日、三女が玄関のモニター映像に映った私の顔を見て、「菅原文太が来たと思った」と言ったことや、次女がある日友人から「直希さんのお父さんは菅原文太に似ているね」と言われたと教えてくれたこと、そして私がもっと若い頃、文太さんの真似をして似合いもしない角刈りの髪型にして、親戚の叔父から「一三君、その髪型はどうかな、あまり似合わない」と言われたことなどを、懐かしく思い出したりしています。

健さん83歳、文太さん81歳での逝去とともに、日本映画のある一つの時代と、私の青春時代が終わりました。

菅原文太さんのご冥福をお祈りいたします。

 

DVD「トラック野郎 男一匹桃次郎」ジャケット

DVD「トラック野郎 男一匹桃次郎」ジャケット