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長崎県ミュージアム連携促進事業 実務者研修

2015-02-04

先日の休館日は長崎歴史文化博物館で開催された「平成26年度 長崎県ミュージアム連携促進事業 実務者研修」に参加しました。

平成22年度より県内の博物館、美術館、資料館、動水植物園等のミューージアムの活性化を目指して進めている「ミュージアム連携促進事業」も今年で5年目。今回の研修では県内でもトップクラスの入館者数を誇る壱岐市立一支国博物館の立ち上げに携わって来た壱岐市教育委員会の松見祐二氏の事例報告「しまごと博物館―壱岐市立一支国博物館の情報発信力」の講演から始まりました。

壱岐市全体を博物館として捉え、地域と連携して行っている「壱岐プロジェクト」を仕掛け、閑散期にはネームバリューを活かした企画展を開催し、またデリバリー(出前)博物館として他博物館で展覧会を行うなどの取り組みについて報告がありました。

次に、青森県立美術館学芸員主幹の工藤健志氏による講演「青森県立美術館のプランディングと地域連携の力」です。2006年に開館した同館は1998年頃より8人の学芸員により基本計画がスタートし、建築から企画まで時間をかけて造られた美術館で、県立美術館の枠を超えたとてもユニークな美術館です。

建築家にはルイヴィトンなどの商業施設を設計した青木淳さん、V.I.(ビジュアルアイデンティティー)の設計には菊池敦己さんを起用し、建物やロゴなどもブランド化され、館内で利用されるフォントは現在では「青森フォント」と名が付いているそうです。コレクションも青森県出身の棟方志功、成田亨や奈良美智などのユニークな作者の作品が多く、これらと美術館をマッチさせて他美術館にない展示方法が取られています。また、学芸員の工藤さんが企画した展覧会の告知には自らが出演するユニットを作り、ネット上で宣伝したり、グッズ販売をしたりして、黒字企画展を成功させているとのことで、若年層を呼び込むための工夫がとても素晴らしいと感じました。

これまでのオールドスタイルの展示方法から、今、美術館のあり方も大きく変わろうとしています。私たちの小さな個人美術館が、これから目指していく事は何かを考えるヒントになる研修会でした。 (N)

 

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