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小崎侃版画「どっさり春の終りの雪ふり」

2015-02-26

この作品は、小崎侃先生が尾崎放哉の俳句「どっさり春の終りの雪ふり」をモチーフに木版画を制作したものです。

種田山頭火と並び、自由律俳句で著名な俳人である尾崎放哉(1885~1926年)が、最後の人生を送った香川県小豆島で詠んだ句です。病臥していた放哉は春の訪れを予感させる名残り雪がどっさり音を立てて降っている様子から、春の来る喜びを詠っています。寂寥に満ちた俳句の多い放哉の句の中でも未来を予感させるような期待感が読み取れますが、その後、41年の人生の幕を閉じます。

侃先生の版画を見てみると、先生を代表するお地蔵様が手を合わせ目を閉じている様は、放哉自身の祈りや思いを託しているように見えます。背景の大粒の雪には桜が混じって降っていて、春の訪れを感じさせる明るいイメージで描かれています。

こちらの版画の絵葉書は常時販売していますが、当館オリジナル絵葉書の中でもトップ10に入る人気のもので、この時期にぴったりの作品だと思います。どうぞ、手に取ってご覧下さい。(N)

 

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