山本美術館 > ブログ > 原発について雑感

原発について雑感

2015-04-18

先日、福井地方裁判所が関西電力の高浜原発の再稼働を止める仮処分を出しました。

ちょうどその頃、門田隆将著『「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実』(PHP研究所刊)を読んでいる最中でした。昨年初めに、同著者の「死の淵を見た男 吉田勝郎と福島第一原発の500日」を読み、東日本を襲った大地震と津波によって起きた「原子力事故」の未曽有の恐怖の中で、原子炉の封じ込めに命を懸け身体を張って日本を救った吉田勝郎所長をはじめとした人たちの活躍を知り、言い表せない感謝と感動の気持ちでいっぱいになりました。

この狭い日本列島には17もの原子力発電所があり、私たちの九州にも隣の佐賀県玄海と鹿児島県川内の二か所にあります。東日本大震災で原発の安全神話は崩れ、災害から4年を経た今なお被災地の深い傷は癒えていない中、政府は世界一厳しいという「新基準」に基づき、その基準をクリアした原発は再稼働を粛々と進めると言っています。

「吉田調書を・・・」の本の、吉田氏の最後の聴取となった日の調書の中に残されている政治家たちの証言や会話と、それに対して吉田氏が洩らした感想「しかし、何を持ってこの国は動いていくんですかね。面白い国ですね」の言葉。

現在は、大震災時の民主党政権下から自民党政権へと変わり、安倍政府は原発再稼働を急いでいますが、福井地裁は住民の民意を受け止め再稼働はダメだと判決しました。また昨日は、関西電力はこの仮処分決定を不服として、異議と執行停止を申し立てたとの報がありました。

原発に何か重大な事が起きると、日本全国何処に居ても、あっても、取り返しのつかない影響を受けるのは必至です。最上の英知をもってしても人間の行うことに完全完璧なことはなく、中でも原発事故は「万が一」にも起きてはならないことを、私たち一人ひとりが真剣に受け止め、もっと認識し、例え微力であっても自分で出来る何かを行うことが大事と思います。

「吉田調書」を読み解く(門田隆将著 PHP研究所刊)

「吉田調書」を読み解く(門田隆将著 PHP研究所刊)