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橋口五葉について~(13)~

2008-10-31

五葉は、大正8(1919)年12月に関西へ旅に出かけていますが、これは次年に制作する新版画の材料の仕入れや題材のスケッチが目的でした。

当時、神戸に住んでいた次兄・半次郎の家の二階からのスケッチを基に制作した『神戸之宵月』(1月作)。京都での宿の松吉旅館の女中お直さんをモデルに頼んで制作した『盆持てる女』(1月)。祇園の舞妓の千代福をモデルにした『紅筆を持てる女』(2月)。それに、この折のスケッチを基に制作した『京都三条大橋』(1月)。それから東京へと戻る東海道垂井駅で故障停車に遭遇し、その待ち時間に車窓から見える息吹山をスケッチした『雪の息吹山』(1月)と、これら5作品は構想から制作まで短期間で仕上げた作品ですが、まるで自分の最期をわかっているかのように精力的に制作したものでした。

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『紅筆を持てる女』

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『雪の息吹山』