横石 臥牛 (よこいし がぎゅう)
■ 長崎県無形文化財
当館では、地元・長崎の小崎侃先生の山頭火句、原爆句や長崎叙情シリーズの版画並びに彫刻などを主として安藤広重や葛飾北斎などの浮世絵、美人画や風景画の新版画など500点余りと、全国で唯一「元禄の現川焼」を再現している臥牛窯・十三代横石臥牛先生の作品約200点を収蔵しております。
※横石臥牛は兄弟による二人三脚の作家です
※写真は兄の松翁先生
■ 臥牛窯について
- 臥牛窯の陶器について
臥牛窯の陶器は赤土の陶土(粘土)で作った素地の上に白い化粧土で文様を描く刷毛目技法によって作られています。陶器の温かみのある風合いと、磁器のように薄手で使い勝手の良い機能をもつユニークな品物です。 - 現川焼と臥牛窯の関係
刷毛目文様の焼物としてその技法を極めた物が「現川焼」です。元禄時代(約300年前)に諫早藩(現在の長崎市郊外)の現川郷で創窯され、半世紀ほどで消滅してしまうのですが、「京の仁清、西の現川」と称される程に優れた焼物でした。その技法と様式の再現に成功して、長崎県の無形文化財の指定を受けているのが臥牛窯と云う事なのです。 - 白鷺の文様について
赤土の渋く奥深い色合いと化粧土の鮮やかな白さとの対比は極めて自然に映える事に着目して描かれたのが白鷺の文様です。
十三代横石臥牛は今迄に一万羽を越える数の白鷺を描いています。それらは全て手描きの即興だということも驚きます。
「白鷺百態シリーズ」は十三代横石臥牛のライフワークとして永年取り組んでいるものなのですが、焼物に数種類の白鷺を100ポーズで描き上げる事が出来ると云う芸は他に類を見ないのではないでしょうか。
■ 作品紹介
冬山幻想壺 「後立山連峰之図」 |
刷毛目見込白鷺文絵皿 | 現川写 「武蔵野文舟型向付」 |
■ 横石臥牛先生 略歴
1927年 | 長崎県佐世保市に生まれる |
1943年 | 父十二代横石臥牛宗雲に師事 |
1955年 | 長崎県美術展に初出展し知事賞受賞以後5年連続入賞、以降知事賞を3回受ける |
1961年 | 先代没後十三代を襲名、以来期するところあって一切の公募展を避ける |
1974年 | 日本伝統工芸展に初出品し入選する、以降1998年まで通算11回入選 |
1975年 | 先代に続いて長崎県無形文化財の指定を受ける |
1986年 | 長崎県無形文化財指定10周年記念個展を全国にて開く |
1995年 | 文部大臣より「地域文化功労賞」を受賞 |
1996年 | 労働大臣より「卓越した技能者“現代の名工”」を受賞 長崎県より「優れた技能者」を受賞 |
1997年 | 春の叙勲において「勲五等瑞宝章」を受賞 |
1998年 | 作陶生活60周年記念個展を全国にて開催 |
2004年 | 「元禄現川様式の伝統と創造展」を長崎、佐世保から全国にて開催 |
2006年 | 兄陞雲が傘寿記念で松翁と改名を期に、弟宗鷹が臥牛窯の当主として十三代横石臥牛を襲名 |
2011年 | 「臥牛窯・創窯410年展」を長崎、佐世保、福岡、熊本で開催 |
2013年 | 横石松翁「米寿記念」作品展を長崎で開催 |
2014年 | 横石松翁の長男の午郎氏、十四代横石臥牛襲名 |
2016年 | 十三代横石臥牛松翁老衰のため死去(本名 陞治、90歳) |
2018年 | 十三代横石臥牛宗鷹死去 (本名 嘉吉、90歳) |