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小崎 侃 (こざき かん)

小崎侃

■ 長崎が生んだ版画界の巨匠

当館では、地元・長崎の小崎侃先生の山頭火句、原爆句や長崎叙情シリーズの版画並びに彫刻などを主として安藤広重や葛飾北斎などの浮世絵、美人画や風景画の新版画など500点余りと、全国で唯一「元禄の現川焼」を再現している臥牛窯・十三代横石臥牛先生の作品約200点を収蔵しております。

※ 小崎の「崎」は本来「﨑」ですが、環境依存文字のため一般的な表記として「崎」を使用しています。

 

■ 作品紹介

「海よ海よふるさとの海の青さよ」 「空にはとんぼう いつまでも年とらぬ子が瞼の中」 「希望」
山頭火句版画
「海よ海よふるさとの海の青さよ」
流浪の俳人・種田山頭火が、大正6年に故郷の山口県防府市の海を偲んで詠んだ句です。山本美術館が位置する場所からも橘湾(千々石湾)が望めますので、この地にふさわしい句として、山本美術館のオリジナル版画(2種類)として制作しました。また、この句碑も山本美術館入口に建っています。
松尾あつゆき原爆句版画
「空にはとんぼう いつまでも年とらぬ子が瞼の中」
長崎原爆で、一瞬のうちに最愛の妻と三人の子供を奪われた松尾あつゆきが詠んだ句です。愛嬌のありそうな顔をしたとんぼうと優しい顔をしたお地蔵さんとが、句と相俟って温かみが感じられます。
ブロンズ像
「希望」(原型)
幼児が、菩薩のような優しい眼差しをした母親の胸に抱かれて本を読んでいます。これは1990(平成2)年、石膏で作られた原型に着色したものです。現物のブロンズ像は、諫早市役所隣りの諫早市民センター横に建ててあります。

 

■ 小崎侃先生 略歴

1942年 熊本市生まれ、長崎に育つ
1966年 東京太平洋美術学校彫刻科卒業
1972年 フランス・イタリア・スペイン・エジプト遊行
1974年 太平洋美術会賞。会員推挙(版画)
1975年 現代美術家協会 新人賞(彫刻)
1976年 同上会員推挙
1978年 第9回日動版画グランプリ展入選
1981年 現代美術家協会 会員賞(彫刻)
1982年 太平洋美術会 会員秀作賞(版画)
1983年 原爆木版画500号、100号他、ヨーロッパ各地を巡回展
1991年 個展100回記念展(長崎・浜屋)サージ、マルス賞受賞
1995年 アメリカ・セントポール市で作品展
1996年 福岡市美術館で個展222回展開催
2000年 長崎原爆資料館で平和展開催、天正かるた復刻
2001年 ハウステンボス美術館個展、スイス・ドイツの6都市で個展
2002年 福岡セキスイハイムのギャラリーオープン個展、雲仙ビードロ美術館個展、熊本・東陽村の「石匠館」個展
2003年 山口市・富士宮市・松本市・大分市・八代市・平戸市で個展
2006年 太平洋美術会評議員・審査員
山頭火、平和などをテーマに全国各地で個展開催350回を超える
市川森一(脚本家)の書き下ろし新聞小説「蝶々さん」(長崎新聞)の挿絵を5月より連載
2007年 歌人 斎藤茂吉の「茂吉と長崎」浜屋にて個展
2008年 「天使の願い」ブロンズ像完成 (波佐見町・あかね天文台)
2009年 長崎丸山公園に「坂本龍馬像」を建立
長崎新聞文化欄に「小﨑侃青春のデッサン」連載
「世界ジオパーク テーマ島原半島を描く」個展(島原文化会館、雲仙岳災害記念館、島原城観光復興記念館)
2010年 第2回島原半島を描く「龍馬が見た島原」
2011年 第3回島場半島を描く「島原城薪能シリーズ」
「有明海詩抄」シリーズ木版画個展(島原市企画)
2012年 第4回「山頭火と島原半島の文学」(島原城振興協会)第5回ジオパーク国際ユネスコ会議前夜祭にて即興水墨画を描く
世界ジオパーク認定国記念品制作
2013年 第400回個展記念展「小﨑侃展」(熊本県民百貨店)
2014年 「雲仙をこよなく愛した斎藤茂吉と西岡水朗が詠う温泉地獄」展(島原城観光復興記念館)
2015年 「小崎侃作品展(第415回)」(熊本八代市 山頭火全国フォーラムin日奈久)
2016年 「長崎の世界文化遺産を描く」個展(長崎浜屋画廊)
2017年 長崎グラバー園内に「草野丈吉」(日本洋食の祖)銅像を建立
2018年 画業50周年・「ふるさと人物伝」個展(長崎浜屋画廊)