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最近読んだ新書から

2024-10-19

先日読み終えた高倉健に関する「高倉健の図書係 名優をつくった12冊」(谷 充代著 角川新書)です。

健さんの没後10年となる今年、本好きな健さんから「探してほしい本がある」と電話が入り、30年間本探しを手伝ったルポライターの著者がまとめた健さんとの交流譚です。

健さんは、新聞に掲載された書評や出版社の広告を見て新刊本は自分で探したそうですが、そうではない絶版となった古本探しが一番問題だったとのことです。

健さんの信頼を得た著者が「図書係」の役目を任された1980年代後半は、今の様にインターネットで簡単に本を入手することができなくて、絶版本は神保町の古本屋街をくまなく歩いて探したり、本がない時は知り合いがいる出版社に電話したり、知り合いがいない場合は直接本の著者へ連絡をして入手したこと等が綴られています。

そうして名優がつくられた本(=高倉健が好んで読んだ本)として、

「杖道自戒」(西岡常夫著)、「さもなくば喪服を 闘牛士エル・コルドベスの肖像」(ラリー・コリンズ著、ドミニク・ラピエール訳)、「男としての人生 山本周五郎のヒーローたち」(木村久邇典著)」、山本周五郎著の「樅ノ木は残った」と「ちゃん」、「火宅の人」(檀一雄著)、「なんじゃもんじゃ」(山口瞳著)、三浦綾子著の「塩狩峠」と「母」、「青春の門 第一部筑豊篇」(五木寛之著)、「あの日あの夜 森繁交遊録」(森繁久彌著)、「男のリズム」(池波正太郎著)などについて紹介してあります。

また、著者は本の‟はじめに”で、高倉健が20年の間、自分の軸がブレそうになった時、あるいは迷いが生じた時に決まって手にしてきた本が連城三紀彦の「蛍草」であったことを紹介しています。

また、‟あとがき”では、『「本の中にはさまざまな人たちが生きている。「仕事で失敗した人」「大切な家族を亡くした人」「怒りで大声を出したい人」そして、「満たされない思いに心塞いでいる人」も。けれども本はまた、教えてくれる。今日はしんどくても懸命に生きていれば、いつかはきっと良いことが待っている、と。だから健さんはこれだと思った一冊を、ボロボロになるまで繰り返し読んだのではないか。』と記しています。

残念ながら、私には今日までにボロボロになるまで夢中になって繰り返し読んだ本はありません。また、健さんが読んだこれらの本の一冊もまともに読んではいません。

健さんは、映画「網走番外地」で演じた橘真一や「昭和残侠伝」の花田秀次郎のやくざ役などの裏で、‟テクニックじゃない。読んだ活字が、生き方が芝居に出る。”と映画と自分のために本を読み続けていた。

読書家だった健さん!  大好きな健さんと比べるなんて恐れ多くて馬鹿げたことですが、己の愚かさ浅はかさを恥じ入りながら、健さんの生き様にますます痺れています。

 

「高倉健の図書係 名優をつくった12冊」(谷 充代著 角川新書)