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「花月」

2009-03-27

江戸時代、日本の三大遊郭の一つであった長崎丸山で、370年の歴史を持ち長崎県の文化財に指定されている料亭「花月」は、県内はもとより全国でも有数の料亭として今も誇りある佇まいと風格を漂わせています。

花月へと続く石畳の坂道をカランコロンと足を鳴らしながら歩くと、江戸時代の華やかだった丸山を歩いているような気分になり、花月の大きな赤提灯が出迎えてくれます。

私は3年ほど前に遠来の知人が来崎した折、長崎らしい食事をしたいとの要望で花月を選びました。花月自慢の中国、ポルトガル、オランダの料理を折衷した卓袱料理は、食べ方にも決まりがあり、目の前に料理が運ばれてきても手をつけることが出来ません。女将さんの「おひれをどうぞ」との掛け声でようやく食事が始まります。

花月2階の大広間から望む庭園も素晴しく、斜面に立つ地形を利用して2階からそのままの目線で庭園を観賞出来るように設計されています。また、この大広間の床柱には坂本龍馬がつけたと伝わる刀傷が残り、長崎の歴史物を蒐集した集古館には向井去来の俳句や頼山陽の書、龍馬直筆の書などが展示されています。

母も先日、花月で職場の昼食会があり、芸者・舞妓さんたちの舞いやお話に存分に楽しみ意義ある時間を過ごせたと話していました。

花月は、食事はもちろん長崎の歴史を体感できるところです。

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小﨑 侃 『丸山の夜』

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小﨑 侃 『いなづまや』