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浮世絵の中の「ひな祭り」

2009-03-02

ひな祭りは、中国から伝わった上巳(じょうし)という行事に日本固有の祓いの行事が習合し、江戸時代に五節句の一つに定められ庶民の行事として定着したと伝えられています。

浮世絵の題材として「ひな祭り」を取上げたものもたくさんありますが、「ひな祭り」の様子を描いた浮世絵を見ると、豪華で雅びやかなひな飾りの周りで子供たちがワイワイとはしゃぎ楽しんでいる様子が伺えます。

また、浮世絵をそのまま部屋に張るとひな飾りとして使用できる物や、浮世絵に描かれた内裏びな、随身、五人ばやし、道具類などを切り取り、張り、組み立てると豪華なひな段を手軽に作ることが出来る紙工作用の浮世絵もあります。これらは浮世絵のジャンルでは「おもちゃ絵」と言って、江戸の子供たちの遊戯具でもあり、季節の行事を作りながら楽しむものでもあったそうです。

一切の邪気を祓い、女児の無事の成長を祈るという日本人独自の美意識がひな祭りを美しく洗練させ、近世からの文化が今日に受け継がれていることが見て取れます。

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歌川国貞「風流古今十二月ノ内 弥生」

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歌川国貞「内裏びな」

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歌川国直「新板雛だな組立」