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北斎の風景画(5)

2009-07-03

「諸国滝廻り」「千絵の海」に続き、翌1834(天保5)年には11枚からなる「諸国名橋奇覧」シリーズを刊行しました。北斎74歳の時です。

「諸国名橋奇覧」は、様々な形態の橋を風情豊かに描いています。その内の「飛越の堺 つりはし」は、まるでサーカスの綱渡りのようにしなった細い橋の上を荷を背負った男女が渡っていく場面を描いていて、この図は独特の幻想性があります。

北斎は橋の形態にも特別な関心を示し、これより10年ほど前の1823~24(文政6~7)年には「百橋一覧」を描いており、山水画風の岩山にあらゆる形をした橋を架けています。

北斎の作品からは、彼独自の物の見方や考え方も感じ取られます。

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「飛越の堺 つりはし」 日本浮世絵博物館蔵

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「百橋一覧」 太田記念美術館蔵