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北斎の風景画(6)

2009-07-05

大好評の「富嶽三十六景」に続き、富士山を題材とした全3冊からなる「富嶽百景」の初編を1834(天保5)年に出版します。様々な角度から見た新たな富士の形と風俗を102種に描き分けた版本で、薄墨を用いた綿密な摺りは「北斎漫画」と並ぶ版本と高く評価されています。

 その後、晩年の北斎は肉筆画を多く描き、1849年(嘉永2)90歳で亡くなりました。臨終場面では100歳まで生きたら真の画工となれるのにと悔しがったと伝えられています。

北斎は描写力に絶対の自信があり、摺師に対して色の濃淡いまで細かな指示を出して自分流の表現に執着しました。

次々に新しい発想と柔軟な絵画表現に取り組んできた北斎の風景画は、私たちに美しさの上に驚きや楽しさを感じさせてくれる斬新でデザイン性の高い作品です。

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「富嶽百景」初編 葛飾北斎美術館蔵