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崎戸からの帰り

2019-10-24

崎戸からの帰路は、西海、大瀬戸、外海町から長崎市の三重、畝刈町を抜けて時津町へ入りました。

右手に角力灘を臨みながらサンセットロードを唯々車を走らせ、途中、外海地区に在る遠藤周作文学館に立ち寄りましたが、20何年ぶりかに訪れた文学館は、昨年6月常設展がリニューアルされていて、展示室が増えていました。

館内ではリニューアルを記念して現在、企画展「“愛„とは棄てないこと。遠藤周作“愛„のメッセージ」が開催中(~2020.6.30迄)でした。また、改装新設なった「思索空間 アンシャンテ」から角力灘を眺めてもみました。20何年か前に見た景色と変わりなく、雄大な紺碧の海が眼下に広がっています。改めて、これが私たちの住む所の橘湾や有明海と繋がり、延いては世界の海と一体となっているのか等とぼんやり考えながらじーっと海面を眺めていると、気持ちが癒されると共に不思議な高揚感も湧いてきます。

遠藤文学では「海と毒薬」、「沈黙」や「深い河」など代表的な作品がたくさんありますが、私は若い頃に読んだユーモア溢れる狐狸庵閑話のエッセイ集「ぐうたら」シリーズのファンでした。

久しぶりに、西彼地域を一周する形で往復300kmを超える運転(しかも軽自動車)で少々疲労感は残りましたが、車は新しくてよく走りナビも付いていたので、初めて訪れた崎戸の町景色や、三度目の文学館と、その上に出来ていた「道の駅」などを見学できて思いがけない一日となりました。

 

私は愛とは「棄てないこと」だと思っています。

愛する対象が-人間であれ、ものであれ-

どんなにみにくく、気にいらなくなっても、

これを棄てないこと。

それが愛のはじまりなのです。  

「愛と人生をめぐる断想」(遠藤周作、企画展案内パンフより)