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数年ぶりの茶道稽古

2021-02-23

昨日の午後は、数年ぶりに茶道の稽古へ行きました。

父の同級生で裏千家茶道の先生は茶道歴55年の大ベテランで、私の幼稚園時の先生でもあり、今日まで親しくお付き合いをさせて頂いております。先生には10数年前、しばらくの間茶道を習っていましたが、私的な生活環境の変化に伴い稽古時間が長くかかる茶道へは通うのが難しくなり、そのまま休止状態になっていました。

昨年から時折りフラワー教室にお越し頂いている先生から先日、「最近、直希ちゃんはお休みの日何してるの」と尋ねられ、「コロナの流行で外出を控えて美術館でゴソゴソしています」と答えると、「今度のお休みにお茶を飲みにいらっしゃい、2月までは(初釜だったから)皆具の良いのを出してるから・・・」とお誘いがありました。

先生宅のお茶室に入り床の間拝見から始まりますが、桔梗一文字という花器に椿が一輪飾ってあります。この花器は活け花の池坊華道の先生宅で一目見て、私も欲しいと願っていたので思わず、「先生、この花器は私が今一番欲しいと思っているものです!」と声を出してしまいました。先生からは「直希ちゃんが来るから出したのよ」との返事です。先生のおもてなしの心を有難く受け止めながら茶花に掛け軸等を拝見して、その後、「紫交趾 青海波」という深い紫色の素地に波模様の入った素晴らしい皆具で久しぶりにお稽古をつけて頂きました。この皆具は随分前に入手し仕舞ったままにしていたけれど、使わないでいたら宝の持ち腐れで勿体ないから、と今年思い切って出されたそうです。

先生は何年か前に腰と足の手術をされていて正座ができないので、お手本にお茶を点てずに椅子に座ったままで教えられます。私は亭主(お点前)と正客の二役を一人でしますが、一回のお点前でどちらの役もできるので時間短縮(?)で本格的な作法を勉強できました。2月中は「長板飾り」というお点前で、私にとっては数年ぶりの稽古、しかも贅沢な皆具を使うので、水指の蓋を取って立て掛ける時には特に注意して手を放しましたが、炉に湯を切る音が何とも風情があり、純粋に和の心を感じました。その後、盆略点前という最初に習った基本のお点前を今度は気持ちも楽にできました。

久しぶりのお稽古で忘れている動作もありましたが、素晴らしい皆具やお道具に心が躍り、マンツーマンのとても楽しいひと時でした。来月は徒然棚の稽古とのこと、季節に合わせてお点前が変わる茶の湯の奥深さは、幾つになってももっと知りたいと思うので、また気楽に通ってみたいと思っています。(N)

(ネット画像より)