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「仁義なき戦い 菅原文太伝」

2021-07-19

またまた菅原文太に関する本です。

先日、Amazonへ注文していた「仁義なき戦い 菅原文太伝」(松田美智子著 新潮社発行)が届き、届いたその日の内に読み終えてしまいました。

著者の本を目にするのは「サムライ 評伝 三船敏郎」(2014年1月 文藝春秋発行)に続いて2冊目でした。

菅原文太に関係する書籍や雑誌はかなり手元にあり、評伝関係では2019年5月に発行された「おてんとうさんに申し訳ない 菅原文太伝」(坂本俊夫著 現代書館)があり、この本を読んでいたので目新しいことはあまり感じませんでしたが、かなりよく調べて書いてあります。

2冊の伝記からは、彼が2009年に俳優をやめた後は有機無農薬農業を始め、晩年には今の日本の社会のあり様を憂い、自分の戦中戦後の体験から世間に対して「政治の役割は国民を飢えさせないことと、絶対に戦争をしないこと」や、福島原発事故後の見聞などから「原子力発電はやめよう」と自分の思いを声高に訴え、関係の活動を続けていたことがよく分かりました。

果たして、2014年11月の菅原文太没後の日本の政治や社会は、彼が憂いた時点から少しでも良い方向に動いているでしょうか。今、日本はもとより世界中が未曽有の新型コロナウイルス感染拡大に見舞われて、その対策に右往左往して、とりわけ日本の政権の対応は後手後手を踏んで国民からの信頼は地に落ちようとしています。文太が生きていたら、きっと私たちは「おどれ等、何しとるんか、あとがないんじゃ…あとが、しっかりせい。」とハッパをかけられていると思います。

映画「仁義なき戦い」シリーズでの広能昌三役や、私が一番好きだった「トラック野郎」シリーズの通称‟一番星”の星桃次郎役は勿論ですが、彼個人としての晩年の社会活動に接して、ますますファン度が増しております。

 

「仁義なき戦い 菅原文太伝」(松田美智子著 新潮社発行)