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‟千葉ちゃん”の訃報

2021-08-21

一昨日は、‟千葉ちゃん”や‟チバシン”の愛称で親しまれた日本を代表するアクションスター・千葉真一の訃報がありました。

僕らの小学高学年から中学時代、テレビドラマのヒーロー物では「赤胴鈴之助」を始め「月光仮面」「遊星王子」「まぼろし探偵」「七色仮面(新七色仮面)」「白馬童子」「豹の眼」「怪傑ハリマオ」「アラーの使者」「琴姫七変化」「ナショナルキッド」「隠密剣士」「忍者部隊月光」等、たくさんありました。

この頃、家にはまだテレビが無かったので、これらの番組が放映される時間には、よく友達と誘い合わせて近所のテレビのある家や日曜日など休みの日には近くの中学校(当直室)に行っては見せてもらっていました。

私が初めて千葉真一を知ったのは「新七色仮面」という番組です。初代を演じた波島進も好きでしたが、二代目の蘭光太郎探偵(七色仮面)を演じたデビューし立ての千葉真一は若々しくて動きがスマートで格好良く、忽ちフアンになりました。そして、彼がよりその身体的能力を発揮した「アラーの使者」には嵌まり込み、この番組を観た後では皆で主人公を真似てそれぞれ頭に白いターバン(と言っても、白い布や風呂敷など)を巻き、口には白マスクをつけたりタオルを巻いたりして、橘神社境内界隈で追いかけあって木に飛びついたり、側転や転回や空中転回などをやったりしながら「アラーの使者ごっこ」遊びで楽しんだものでした。空中転回では上手く回れず、したたかに背中やお尻を地面に打ち付けては悶絶(?)していました。彼が、大学の体育学部出身で器械体操をやっていたと知ったのは、ずーっと後になってからのことで、道理で身軽く華麗に動ける(演じられる)訳です。

それからは、東映映画での初期作「風来坊探偵」や「ファンキーハットの快男児」、高倉健と共演した「カミカゼ野郎 真昼の決斗」、それに時代劇やギャングや刑事物、子役時代の真田広之と親子役で共演したやくざ映画「浪曲子守歌」の2部作、長崎の軍艦島でロケした「冒険者 カミカゼ」、実録物の「仁義なき戦い 広島死闘篇」等々、彼の出演作品はよく観てきました。また、‟Sonny Chiba(サニー千葉)”の芸名で出演した外国映画のクエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」、またテレビドラマの「キイハンター」や「服部半蔵 影の軍団」はもちろんのことです。

中でも、私が‟チバシン”を強く意識したのは空手映画ブームの中で撮った「直撃地獄拳」や「激突! 殺人拳」、それから「ゴルゴ13 九竜の首」、そして何よりも柳生十兵衛としてはまり役だった時代劇「柳生一族の陰謀」と「魔界転生」、劇中のすさまじい殺陣の立ち回りは何回観てもしびれます。

余談ですが、昨年暮れに千葉さん出身地の福岡で千葉さんと懇意の知人から「千葉ちゃんが近い内に遊びに来るかもしれない」と聞いていたので、その時はお邪魔してサインをもらおうと期待していたのですが、残念です。

戦後に生まれた私たちの貧しくて多感な少年時代に、テレビや映画でヒーローを演じて私たちを元気づけてくれた好きな俳優がまた一人鬼籍に入り、親しんだ昭和時代がだんだんと遠くなってきました。

千葉真一さんのご冥福を心からお祈りいたします。

 

DVD「激突! 殺人拳」のジャケット DVD「カミカゼ野郎 真昼の決斗」のジャケット