ジュゼッペ・アルチンボルド
2008-05-01
先日、歌川国芳の戯画作品を紹介していて連鎖的に頭に思い浮かんだのが、ルーブル美術館で鑑賞したジュゼッペ・アルチンボルドの『春』という作品です。
西洋では、国芳の活躍した江戸時代から200年程前の16世紀に、物を組み重ねて一つのものを構成するという表現方法が既にありました。
ジュゼッペ・アルチンボルド(1527~1593)は、イタリア・ミラノ出身で宮廷画家として活躍し、珍奇で突飛的な肖像画で知られる作家です。強い印象と奇妙な感覚を与えるその肖像画は、動植物や果物、料理、書籍、道具類などを組み合わせて構成する表現方法で描かれています。代表連作『四季』の一作『春』は、春に芽吹く花を始めとする植物から構成され若い男性の顔を表現しています。また、『大地』は、動物を組み合わせて年配の男性を表しています。
奇抜なアイディア、類稀な才能による構成力もさることながら、構成するモチーフひとつひとつの写実的で細密な描写表現も、またアルチンボルド作品の大きな見所のひとつだと思います。
アルチンボルドは、その後の世界中の美術界に大いに刺激を与え、はっきりとした跡を残しています。
『春』 ルーブル美術館蔵
『大地』 個人蔵