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エル・グレコ「聖母戴冠」

2010-05-04

「長崎県美術館 開館5周年記念 プラド美術館所蔵 エル・グレコ《聖母戴冠》」特別展示鑑賞へ出かけました。

スペイン・マドリードにあるプラド美術館は、スペイン王家のコレクションを展示する世界でも有数の美術館です。私は当美術館の開館直前に、スペインに留学経験がありプラド美術館で日本人向けの作品解説のアルバイトをしていた友人と共にプラド美術館を訪れたことがあります。ベラスケスの「マルガリータ王女」、ゴヤの「裸のマハ」「着衣のマハ」、ボスの「楽園の園」などをはじめ、エル・グレコやムリーリョなどスペイン画家の作品を堪能できて感動も一入でした。

スペイン絵画コレクションでは世界屈指のプラド美術館と長崎県美術館は提携を結んでおり、今回の開館5周年を記念して特別にエル・グレコの作品一点を借用できました。先日のアイスランドの火山噴火の影響で、到着が一日遅れたエル・グレコ「聖母戴冠」。作品に及ぼすダメージを最小限に抑えるため到着後24時間は作品を開封しないという条件があり、長崎の温度/湿度と調和した頃に開封し、一日遅れの展示開始となりました。作品も生き物であることがわかります。

マニエリスム(芸術の一つの様式)最後の画家と言われるエル・グレコの作品は、原色に近い強烈な色彩に輝きを持つ光彩表現、極端に縦へ引き伸ばされた人体プロポーションや憂いを含む人物の視線や表情などが特徴です。「聖母戴冠」ではエル・グレコが持つ独特の世界観が感じられます。10月24日(日)までの特別展示です。

1272934765_img298エル・グレコ「聖母戴冠」 チラシ