山本美術館 > ブログ > 平城京遷都1300年観光旅行(3) 新薬師寺

平城京遷都1300年観光旅行(3) 新薬師寺

2010-05-13

1日目の終わりは、奈良公園近辺の賑わいから離れて静寂な場所にある「新薬師寺」へ。 ここは747年、光明皇后が聖武天皇の健康回復を願って建立した寺で、入母屋造りの本堂(国宝 8世紀)の中央には本尊薬師如来座像(国宝 8世紀)が安置されています。 191cmの榧(かや)の一本造りの本尊は顔も身体も丸く唇もタラコっぽく厚みがありますが、切れ長のとても大きな黒目が印象的で、包容力たっぷりといった感じで安心感が沸いてきます。 その光背には同じような顔つき体つきの6体の化仏が並び、本尊と合わせ七仏薬師になります。

本尊の周りには日本最古の十二神将(国宝 8世紀)が取り囲んで立っています(一体は昭和期の補作)。 十二神将とは、薬師如来の世界と信仰する人々を守る大将で、12の方角を守っていることから干支(十二支)の守護神としても信仰されているそうです。 かれらの身長は160cm前後で、一体ごとにポーズや表情が豊かで見飽きることがありません。 中でも、全体の代表格である「伐折羅(ばさら)大将」(干支=戌)は髪を炎のように逆立て、目と口をかっと開き、相手を威圧しているような最も動きのある表情をしていました。

こじんまりとした境内には他に来訪者がほとんどなくて、天平文化の秘宝を独り占めして鑑賞でき至福の時を過ごせました。

1273742230_CIMG9492-1新薬師寺の本堂

1273742230_img301栞より「伐折羅(ばさら)大将」