山本美術館 > ブログ > おもてなしの心

おもてなしの心

2011-04-17

先日、知人宅を訪問した際にとても素敵なおもてなしを受けました。 リビングから窓越しに見える庭園には私が一番好きな牡丹の花が新しく植えられていて、庭園を眺めながら手描きの有田焼の大鉢に盛られた桜色の和菓子とウエッジウッドの春らしい器でミントティーをご馳走になりました。また、漆器に最近興味があると私が話していたからと、和菓子の取り皿には贅沢な漆器が用意されていて、さらに感動しました。

私も常日頃、来館される方々がこの美術館に来てよかったと満足してお帰りいただけるように、またお客さまを招く時には季節や趣向に合せて調度品や花などの飾り付けを整え、その場にふさわしい振る舞いをして、できる限りの「おもてなし」をしようと工夫していますが、これは簡単なようで意外と難しく奥の深いことです。

茶道の世界で大切にする気持ちを言い表した言葉に「一座建立」「一期一会」があります。時間を共有する人たちが互いに尊敬しあい心を合せることで一体感が生まれて最高の状態になる、茶席でたとえ何度同じ人々が会するとしても今日の茶会はただ一度限りの茶会であるから亭主も客もともに思いやりをもって取り組むべきと教えています。

主客一体の座をめざす心が「おもてなし」に必要だと改めて実感しました。