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幻の「パール・バック」のサイン

2012-02-01

ジュディ・オング「大津波」の続きです。

千々石海水浴場前で行われた撮影には、ジュディの他にミッキーカーチスや漫画雑誌「少年画報」のモデルの設楽幸嗣、太田博之さんなどが一緒だったのではなかったかと思います。

そしてその時、実は大津波の原作者のパール・バックからサインをもらったのです。映画監督が座るような木と布で出来ている大きな椅子に、大きなお尻をかけて海を眺めている貫禄ある外国人おばあちゃんの後姿に仲間たちと近づき、恐る恐るサインをくださいと言って書いてもらいました。もちろん、その女性がパール・バックであるとは知る由もありません。

ノートに書かれた「Pearl Buck」の英名を、仲間と見せ合いながら、何と読むのだろうか、「ピアール、ブック? 」「パール、ブック?」「パール、バック?」などと言い立てた記憶があります。また、当時の周りの大人の人たちも“外国の、たぶんアメリカの太ったおばさん”くらいの感覚だったと思います。

ずーっと後になって、サインの読みは「パール・バック」。『大地』などの名作を発表し、アメリカ人の女性として初めてノーベル文学賞に輝いた有名なパール・バック本人と知ってびっくり仰天です。

しかし、その価値あるサインは何処かへ失くしてしまいました。美術館の家宝の一つになるところでしたが、残念至極です。