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「橋口五葉版画展」、24日まで。

2012-12-21

12月も早や下旬となり、今日は冷たい小雨がぱらついています。

美術館今年の最終特別企画展の「橋口五葉版画展」もいよいよ24日までとなりました。

日本伝統文化の浮世絵研究の上に立って版画制作を開始した五葉の作品は、美人画では女性の表情や髪の毛一本一本の微妙さを実に情感豊かに表現し、それらの背景は雲母摺りを贅沢に用いて制作しています。まるで歌麿の作品を見ているようで、大正の歌麿と称される由縁です。私が五葉作品の中で最も好きな作品「夏衣の女」の、絣を着た女の絣の模様や絣を透けて見える腕の表し方などには身震いを覚えます。また、風景画の作品は構図や色の表現が風景版画の第一人者として有名な広重の作風とよく似ていて、最初に「雪の伊吹山」や「京都三条大橋」などを見たときは広重の作品と見間違うほどでした。

五葉が長く生きていたら、私たちはもっとたくさんの作品にめぐり合えたのにと思うと、早世が惜しまれてなりません。

1356071489_img439橋口五葉「夏衣の女」(大正9年)