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祖父の火鉢

2013-06-28

父が子供時代に住んでいた千々石の家は、私が生まれた時には小屋兼倉庫代わりになっていて、農機具やコンテナなどが仕舞ってありました。

私はこの20年近く小屋に入ったことはありませんが、小さい頃にはよく姉や妹、近所の友だちなどと中に入り遊んでいました。その当時いつも、家の縁側に置いてあった深いブルー色の火鉢がお気に入りで、火箸で中の灰を混ぜたり、五徳の上でお餅やスルメなどを焼くような遊びをよくしたものです。

この火鉢は骨董品と呼べる代物ではないですが、私が生まれるよりもずっと前に亡くなっている祖父や父たちが使っていたもので、60年くらいは経っていると思います。

大人になってからもその火鉢が何故かいつまでも記憶の中にあり気になっていて、時折り、母に火鉢がまだ小屋にあるかどうか聞いていました。また、美術館開館の時には愛野の地に持って来たいと思っていましたが、父に言っても相手にしてくれなかったし、女性の力で運ぶのは無理だし、と諦めていました。しかし先日、その火鉢を父が親戚の者と運んでくれていて、美術館軒下のアプローチに並んでいるのを見つけて嬉しくなりました。

火鉢も薄暗い小屋から明るい場所に出られて、きっと喜んでいることと思います。(N)

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