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夏らしい生花

2013-07-22

先日の華道のお稽古は、ガマと雪柳と百合の三種類を使ったグリーンとオレンジ色の組み合わせの夏らしい三種活けでした。

茶色の円柱の塊をつけた不思議な植物「ガマ」は初めて見るもので、植物に詳しい父も「何だ、これは!?」とびっくりしていました。

「ガマ」は北海道から九州までの広い範囲で生息する蒲(がま)科の植物で、池や沼などの水辺に生え、水中の泥の中に根を張り、夏に茎を伸ばして円柱形の花穂をつけます。花穂は雌花の集まりで、ソーセージのような形をして硬く、冬になるとこの花穂の中から綿毛がたくさん出て飛散するそうです。「蒲団(ふとん)」の「蒲」の字は、その昔、ガマの綿毛を寝具に入れたことから、「蒲鉾(かまぼこ)」は最初のころは竹輪のような形をしており、ガマの花穂に似ていたことからその名がついたとのことです。

また、ガマの花粉は止血や利尿の漢方薬になり、「古事記」によると怪我をした因幡の白うさぎは大国主命の指示でガマの穂に包まって止血し、傷を治したそうです。

名前も見た目も面白いガマを、美術館近辺で見かけたことはありませんが、大昔からの言い伝えや薬としての効能があることが分かり、一つ物知りになりました。(N)

1374456970_-1ガマと雪柳と百合の三種活け

1374456970_CIMG4915ガマの花穂