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「木造建築シンポジウム」

2014-02-16

昨日(15日)午後、波佐見町で行われた木造建築の魅力と可能性を探る「木造建築シンポジウム」へ参加しました。

お世話になっている池田武邦先生が基調講演をされるとのことで、先生に会えるのを楽しみに、家内と高速道をとばして駆けつけました。先生ご夫妻は、関東地方大雪のため飛行機の運航が危ぶまれていた中を、昨日お昼過ぎ早めに来崎されたとのことです。相変わらず、先生の矍鑠とされたお姿に接して、こちらも身が引き締まりました。

シンポジウムは、「フィールドワーク(旧波佐見中央小学校講堂兼公会堂の小屋組見学)」〜「シンポジウム(基調講演、事例報告)」〜「パネルディスカッション」の三部構成でした。長崎総合科学大学の林一馬教授がコーディネーターを務めたパネルディスカッション「木造構造と地域の文化を活かしたまちづくり」で、池田先生は自然の素材を利用した日本建築の原点がここ波佐見には在り、グローバル化した社会ではこういう貴重な建物はこれからもっとパブリック・リレーションズ(public relations)していくことが大事なことであると述べられました。また、佐賀、長崎、福井など各地の町並み景観整備や町づくり活動に携わっている建築家の清水耕一郎さんから、スライドを利用して佐賀県唐津市の町づくりの紹介があり、これらの町の機運を高めることを目標として、木造建築の保存と活用をより促進させていく活動の大切さを強調されました。また、地元の旧波佐見中央小学校講堂兼公会堂保存活用委員会会長で波佐見焼振興会会長でもある兒玉盛介さんからは、建物の保存活用など何でも自分でやるのではなくて、これらの場所を使い主体となって何かを行う人を探してやってもらうことが保存活用の面から上手くいく方法の一つでもあるとの話がありました。

シンポジウム終了後、時間的に間に合わなかった最初の「小屋組見学」をしていなかったので、誰もいない広々とした講堂の中を歩いてみました。昭和12年に建設された希少な大型木造瓦葺洋館で、九州で最後に残された木造公共施設との説明ですが、一瞬、雲仙市小浜町のやはり昭和12年に開業した「おたっしゃん湯」の浴場の三角形の天井が脳裏に浮かび、昭和初期の同じような匂いを感じながら、公会堂を後にしました。

1392521446_img001「木造建築シンポジウム」チラシ