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長崎県ミュージアム連携促進事業 特別セミナー

2014-03-30

27日(木)、諫早市美術・博物館で開催された「長崎県ミュージアム連携促進事業 特別セミナー」に出席しました。今回はいつもの博物館関係者に加え、県内各市町村の教育委員長や教育委員会の方々など約30名の参加でした。

まず、公益社団法人企業メセナ協議会専務理事の加藤種男氏の講演「気軽に使えるミュージアムを目指してー文化政策課題へのアプローチ」がありました。加藤さんは、アサヒビールの企業文化部の推進役やアサヒビール芸術文化財団事務局長を歴任され、国内各地の市民による地域文化の振興と芸術を結ぶ事業を推進されています。そのような経験の中から、文化を敬遠している日本人が文化を通じて経済効果を生む方法や自己表現の社会化を目標にアイデアを提供しているとのお話しでした。

講演の後は、担当学芸員の案内で館内の見学会がありました。最初に作品保管庫や作品搬入口のバックヤードを見学してから1階の常設展示室の説明を受けました。常設展示は諫早の歴史や美術を紹介しているコーナーです。デジタルで映し出される年表や地図に手や足でタッチすると詳しい画面が次々に出てくる最新型の展示方法から始まり、有喜貝塚や丸尾古墳から出土した土偶や遺物、現存する国内最古と言われる電信機「エーテルテレカラフ」、諫早市出身の洋画家・野口弥太郎の「那智の滝」などの作品、そして本日一番楽しみにしていた現川焼です。

長崎の現川で元禄4(1691)年からわずか50年しか作陶されなかった幻とも言える現川焼は、特有の赤色の強い土を使用し、刷毛目や文様の繊細さを持つ作品です。もくもくと白い雲がかかる中に龍が下界を睨んでいるような文様が素晴らしい「吹刷毛地雲龍文四方鉢」、のどかな山や川の風景を窓絵に入れ込み描いている「刷毛地色絵窓絵山水皿」、薄めの地色に蜘蛛と蝶が描かれた「刷毛地蜘蛛巣に蝶文輪花鉢」などを興味深く魅入りました。その後、2階の開館記念特別企画展「諫早家ゆかりの品々展」を鑑賞しました。1587年から280年もの間、諫早の地を治めた諫早家に因んだ作品が紹介されていました。また市が管理保管している作品のほかに、近くのお寺に代々伝わる自画像や地図、具足に羽織、黒漆器の家具や重箱なども借用し展示してあります。一般オープンは4月1日からとのことですが、プレオープンの今月末までは通常大人200円の入館料が無料になるそうです。

このミュージアム連携促進事業では、だれもがいつでもどこでも触れ親しむことのできるミュージアム県・長崎を目指して、文化資源を生かしたまちづくりを先導するミュージアム・コミュニティーの創造を目指しています。

尚、山本美術館でも、臥牛窯が再現した現川焼を常時100点ほど展示していますので、是非、ご覧になってください。(N)