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皐月 花菖蒲に鴛鴦

2014-05-01

5月になりました。 明日からは天気も回復して気温も上がり、絶好の行楽日和になるようです。

今月の月替わりの絵皿は「花菖蒲に鴛鴦」です。2月から桃色系の絵皿が三ヶ月続いたので、今回はたいへんシックな感じを受けています。

花菖蒲は江戸時代には各地にたくさんの名所が設けられており、剣状の葉は切れがあってすっきりと伸びるところなどから武士の好みにも合ったと言われています。

鴛鴦はつがいで水面でも陸上でも常に翼を連ねてお互いを労わるような動作をするので、夫婦の仲の睦まじい姿をおしどり夫婦と喩えられています。また、鴛鴦の雄は橙色や緑色の艶のある羽を持ち、大きな扇形の銀杏羽と呼ばれる飾り羽がたいへん美しいと評判です。この飾り皿に描かれた花菖蒲と鴛鴦のとり合わせは華麗な中に端正さが加わったもので、日本人の美意識にあった趣き深い組み合わせです。

鴛鴦を描いた作品では、尾形光琳の「金地雪中老松鴛鴦屏風」や伊藤若冲の「雪中鴛鴦図」などが最も知られていて有名です。 当館で開催中の花鳥風月浮世絵版画展では、土屋光逸作の「鴛鴦」を展示紹介しております。連休中も休まず開館していますので、是非、ご覧になってください。(N)

1398911949_IMG1390「花菖蒲に鴛鴦」の絵皿