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溪斎英泉の美人東海道について

2014-10-24

現在開催中の「所蔵美人木版画作品展」で紹介している溪斎英泉(1791~1848年)は江戸後期の浮世絵師で、美人画を得意としていますが風景画でも名を知られ、特に広重との合作「木曽街道六拾九次」は有名で、その内の24図を担当しています。

今回の展覧会では、英泉の美人東海道シリーズの内5点を紹介しています。宿場の風景だけでも作品になるほど手の込んだ背景に、その土地の町芸者や遊女などを前面に大きく配し、生活の一コマを取り上げ組み合わせています。

溪斎英泉の描く美人はツリ目のきつい顔立ちで顔の表情は一定していますが、ポーズの取り方に特徴があり、腰をくねらせたり、あごを突き出したりと斜に構える女性を多く描いています。

非常に手の込んだ絵柄の着物は当時の最先端を描き、今で言うファッション紙のような役割をしたことと思います。そして着物の柄や添えられた句から季節を読み取ることができます。

見どころがたくさんの「所蔵美人木版画作品展」は12月28日(日)までの開催です。皆様のご来館をお待ちしております。(N)

 

img2131z溪斎英泉「美人東海道 川崎」(天保末期頃)