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橋口五葉について~(5)~

2008-10-13

五葉は、広い知識と確固たる研究の重要性を言及し自ら浮世絵研究者として邁進していた頃、大正新版画運動の提唱者・渡辺庄三郎の勧誘を受け、大正4年に第一作目の新版画作品『浴場の女』を制作します。

これは単なる錦絵風俗画としての美人画ではなく、本格的な芸術的美意識を満足させる裸婦を木版画として制作することに挑戦しています。しかし、五葉にとってこの作品は裸体図として納得出来るものではなく、更に裸体図の検閲の問題や彫師・摺師などの職人たちとの連携共同作業が上手くできなかったことに不満を残しています。

五葉はこの1枚の版画を制作しただけで、版元の渡辺版画店主導の版画制作から離れ、単独で制作を進めていくことになります。

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橋口五葉『浴場の女』 大正4年制作 千葉市美術館蔵