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有田陶器市へ

2015-05-05

昨日は昼近くになってから、有田陶器市へ出かけました。

お目当ての臥牛窯の窯元ぎゃらりいへ一直線で、会場内の新作旧作の作品群を鑑賞して、久しぶりに臥牛作品を堪能しました。

今回は、特に昨年10月の長崎国体開会式等の一連行事の為に行幸啓頂いた天皇皇后両陛下に長崎県知事が今年2月に「白鷺文花瓶」を、やはり同国体の為に来崎された秋篠宮同妃両殿下へ長崎県が「鷺草文九寸絵皿」を献上したことの紹介とそれらの写真が目に付き、臥牛ファンの一人として大変嬉しく思いました。また、十四代を継いだ午郎さんのオーロラ文様を描いた大きな絵皿や大型の壺などの新作も見応えがありました。

快晴で天気が良すぎ、体調的にあまり歩きたくなかったので、有田駅を中心に開かれている陶器市の方には寄らずに帰途に着きました。高速道へ向かう途中で街中の渋滞にかかり、ふと横を見ると柿右衛門窯の看板が目に入ったので、交差点の真ん中でやや強引に方向転換して車を柿右衛門窯へ進めてみました。

当美術館でも、縁あって十二代と十四代の小さな作品を何点か所蔵していますが、窯を訪問するのは初めてです。柿右衛門古陶磁参考館で、十二代、十三代、十四代、そして現在の十五代の「柔らかくて温かみのある乳白色の素地の上に、余白を十分に残した明るく繊細で絵画的な構図を特徴とする色絵磁器」のいわゆる「柿右衛門様式」の作品に接して、何か言い表し難い「あっ、これが伝統というものか!」の気持ちが湧いてきました。

家内とともに良い経験をして、参考館入り口に貼紙案内がしてあったその夜の十五代出演のTV番組「中村勘九郎~親子の宿命~」を観ました。番組の中で、十五代が仕事に没頭する父親(十四代)とは自分の進路を決める高二になるまでまともに向き合って普通の親子として話したことがなかったという発言に驚き、また「伝承」と「伝統」について語っているのが印象に残りました。

 

臥牛窯「白鷺文花瓶」

臥牛窯「白鷺文花瓶」