山本美術館 > ブログ > おふくろ訪問

おふくろ訪問

2015-11-07

約1年ぶりに会ったおふくろは、すっかり小さくなっていました。

九州長崎高速自動車道路の金立SAで一休みし、お昼前に目的地に着いて、昼食を済ませてからおふくろが入所している施設へ行こうと思い、車を走らせながらレストランを探しているところに妹から家内の携帯電話へ連絡が入りました。

妹と家内の「美味しいうどん屋があるから、そこで食事をしよう」とのやりとりを聞いていた孫息子はすかさず、「うどんば、食べると?」とさも残念そうな言葉を発しました。母親が「○○の好きなおにぎりもあるかもよ」と言っても、「ふーん」と生半可な返事でしたが、チェーン店のうどん屋ではシソおにぎりなどを美味しくいただきました。また、昼食を終えて曾ばあちゃんの居る施設に着くと、元気よく「ここには来たことない」と言いながら車から降りて行きました。

施設では、タイミング良く長崎市内から面会に来てくれて私たちより一足早く着いたおふくろのただ一人となった妹(叔母)一家とも合流することができて、みんなで食堂へ移りおふくろを囲んで懇談しました。

おふくろは、車いすに座り、身体は細り、ますます小さくなっていて認知症も進んでいるようです。テーブル越しにおふくろの手を握り、顔を見ながら「久しぶり。一三よ、兄ち(あんち)よ」「孫の○○と、その子の曾孫○○と○○も一緒よ」などと話しかけると、一瞬握っている手に力を込めて握り返し、口もどかしげに「・・・ありがとう」「・・・(分からなくて)ごめんね」とか細い声で返事しますが、誰かれの区別はついていないようです。

それでも、おふくろの目の前で大人たちの話に退屈した孫息子が広い食堂内を走り出すと、仕草が可愛かったのか、「あっ」と声を上げ、笑みを浮かべながら孫息子の姿を目で追います。叔母が、「今日、姉ちゃんと会って初めて姉ちゃんが笑ったね」と語りかけてくれました。

また、私たちの帰りを見送りに、妹に車椅子を押されながら玄関口へ出てきて、動き出した私たちの車に向かって右手を上げて手を振ってくれます。堪らなく愛おしい気持ちがこみ上げてきて、涙を流しそうになりました。

今日は、年老いていくものの憐れさ悲しさと、子ども(孫)たちのこれからの成長の楽しみを同時に感じさせられた訪問でした。

 

おふくろを囲んで。

おふくろ(前列右)を囲んで。